相続の開始と相続分
2025年10月05日
1.相続の開始
相続は、被相続人の死亡によって開始されます。
【相続】自然人の財産などの様々な権利・義務をほかの自然人が包括的に継承すること。
【遺贈】遺言により財産の一部または全部を他人に無償で供与すること。
【死因贈与】贈与者の死亡によって贈与が開始される贈与契約
2.相続人の範囲と順位
(1)法定相続人
相続財産を引く継ぐことができる人。配偶者、子、直系尊属(親など)、兄弟姉妹に限定。
(2)相続人の順位
配偶者は順位に入らず、第一位が子、第2位が直系尊属(親など)、第3位が兄弟姉妹。上の順位がいない場合、下の順位の人が相続人となる。
(3)欠格と廃除
➀相続人が被相続人を殺そうとしたり、脅迫や詐欺を行った場合 → 欠格
②被相続人が相続人から虐待を受けたり、重大な侮辱を与えたりして、被相続人が家庭裁判所に申し立てた場合 → 廃除(相続権を失わせること)
3.相続分
(1)指定相続分
遺言により相続分や相続人を指定することができます。遺言による相続分を指定相続分という。指定相続分は法定相続分に優先して適用されます。
(2)法定相続分
民法で定める標準的な遺産分割のガイドライン
➀子供がいる場合: 配偶者1/2 子供1/2
②子供なし父母の場合: 配偶者2/3 父母1/3
③子・父母無しの場合: 配偶者3/4 兄弟1/4
普通養子縁組は、実親との親族関係は終了無し、特別養子縁組は親族関係終了。
4.その他重要事項
(1)被嫡出子
被嫡出子の相続分は、嫡出子の相続分と同じです。
(2)代襲相続
相続発生時に子がすでに死亡している場合や、欠格や廃除によって相続人の権利を失っている場合に、孫が相続を受けるケースを代襲相続という。
相続人が相続を放棄した場合は代襲相続はダメ。
(3)民法における親族の規定
➀親族とは「6親等内の血族」「配偶者」「3親等内の姻族」
②血族とは親子や兄弟姉妹のように出生により血のつながりがあるものをいう。
③姻族とは、婚姻により配偶者の一方と他方の血族の間に生じる関係。
④直系血族および兄弟姉妹は、互いに扶養する義務があります。家庭裁判所は、特別の事情がある場合には、3親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができます。
⑤未成年の子がいる夫婦が協議離婚する場合、夫婦のどちらかが親権者に決めなければならない。
(4)遺産分割
➀共同相続人の全員が合意すれば、必ずしも法定相続分にしたがって分割する必要はない。
②原則、遺産分割は相続開始後いつでも行えます。いつまでに行わなければならない等の期限もないものの、10年を経過すると寄与分などの規定の適用がなくなる。
③遺言により「相続開始から5年以内の一定期間」を定めて期日までの遺産分割を禁止できる。
④成立した遺産分割協議でも(共同相続人の全員の合意があれば)再分割協議は可能です。
⑤協議がまとまらない場合、各共同相続人は家庭裁判所に調停を申し立てることができます。調停でも決まらない場合は審判により決定します。
⑥寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加に特別な寄与をした相続人に認められる金額のことです。原則として協議により定めます。
⑦代償分割とは、特定の相続人が相続財産を取得して、その人がほかの相続人に代償として現金などを交付することです。
⑧換価交換は、共同相続人が取得した財産を売却して、その換価代金を分割することです。
合同会社良いまち不動産 奥田良三