相続財産の評価(取引相場のない株式)
2025年10月10日
1.取引相場のない株式の評価
いわゆる非上場株式(取引相場のない株式9の評価方式には、原則と特例があります。原則的評価方式は、類似業種比準方式、純資産額方式、併用方式の3つです。特例的評価方式は配当還元方式のことです。株式の取得者が経営支配権を持つ人の場合は原則的評価方式となり、そうでない場合は特例的評価方式となります。同族株主に該当するかどうかは(その株主とその同族関係者を株主グループ、とした場合の)議決権割合で判定します。
2.会社規模の判定方法
原則的評価方式が適用される場合は、その会社を3つの基準(従業員数、総資産価額、売上高)により、大会社、中会社(の大、中、小)、小会社に区分します。なお、従業員数70人以上なら大会社になります。大会社なら類似業種、小会社なら純資産、中会社なら2つのブレンド(併用)による評価方式となります。
3.評価方式
➀類似業種比準方式(大会社)
事業内容が似ている業種の上場会社の株価と比較して自社株の株価を算出する方法。
類似業種の平均株価を基にして、1株当たりの配当、利益、純資産の各要素を上場会社とその評価会社と比べて算出します。
②純資産価額方式(小会社)
1株当たりの純資産価額を株価とする評価方法。「まず会社の財産をすべて現金に換え債務をすべて返済した後に、1株当たりいくら分配できるか」という分配予想額を評価額とします。
③併用方式
類似業種比準方式と純資産価額方式、により算出した額のそれぞれに、一定の割合を掛けて株価を算出する方法。
④配当還元方式
過去の配当実績を基礎として、評価額を計算する方法。
4.特定評価会社
純資産に対して一定の割合の株式や土地を保有している場合、特定評価会社となり、純資産価額方式で評価されます。例えば、その会社の総資産における土地保有割合が70%以上(大会社の場合)または90%以上(中会社の場合)等の場合に土地保有特定会社となります。なお、同族株主等以外の小数株主が相続などで取得した場合は、特定会社に該当しても配当還元方式で評価します。
また、清算中の会社は清算分配見込み額によって評価します。
合同会社良いまち不動産 奥田良三