法人契約の生命保険の経理処理
2025年10月19日
法人保険の経理処理では、貯蓄性のある保険料は資産、掛け捨ての保険料は費用という原則、ハーフタックスの例外あり。
1.法人が支払った保険料の経理処理
➀法人が払う保険料の経理処理ルールの大原則
貯蓄性のない保険(定期保険、医療保険など)の保険料は損金に計上し、貯蓄性のある保険(終身保険など)の保険は資産として計上します。
②貯蓄性のない保険の仕分け
掛け捨ての保険料を支払う際には、資産の減少と費用の発生が同時に生じる。バランスシート上では、左側(借方)に現預金などの資産があるので、仕分け上、現預金で保険料を支払った時には、反対側(貸方)に記入します。また、費用の発生は左側(借方)に記入します。
③貯蓄性のある保険の仕分け
貯蓄性のある保険(終身保険など)の保険料を支払う場合は、費用ではなく「法顕両積立金」という資産として計上します。バランスシート上では、左側(借り方)の預貯金が減るので反対側(貸方)に記入します。保険料積立金は資産が増えるので左側(借り方)に記入します。
④ハーフタックスプラン(福利厚生目的の養老保険加入)
法人契約の養老保険で「被保険者=役員・従業員、満期受取人=法人、死亡保険金受取人=被保険者の家族」とする契約は、貯蓄性がありますが、全額資産計上にはなりません。福利厚生目的となる条件を満たせば「半分は資産計上、半分は福利厚生費として損金算入」という保険料の経理処理が認められます。
遺族が死亡保険を受け取った場合、資産計上した保険料は会社に戻らなくなるので「雑損失」として計上します。
⑤貯蓄性のある定期保険および第三分野の保険
最高解約返戻率の応じて以下のような経理処理となります。
・最高解約返戻率50%以下(貯蓄性がないので)なら全額損金計上する。
・最高解約返戻率50%超70%以下なら、保険期間の前半4割は「保険料の40%資産計上、60%損金」
・最高解約返戻率70%超85%以下なら、保険期間の前半4割は「保険料の60%資産計上、40%損金」
・最高解約返戻率85%超なら、保険期間の当初10年は「保険料×最高解約返戻率90%は資産計上、残りは損金算入」
⑥過去に加入した貯蓄性のある定期保険(長期平準定期)
2019年7月7日以前に締結した貯蓄性の高い定期保険(厳密には満期が70歳超で「加入時年齢+保険期間×2」が105を超えるもの。満期が90~100歳のケースが多い)は長期平準定期保険といい、前半6割期間における保険料は「半分を定期保険料として損金算入、半分を前払い保険料として資産計上」という経理処理になります。
2.法人が保険金を受け取ったときの経理処理
➀法人が保険金(満期・死亡など)を受け取った場合、その保険契約に関して資産として計上されている「保険料積立金」との差額が益金(雑収入)または損金(雑損失)となります。
②掛け捨ての定期保険や医療保険に関する保険金や給付金が会社に入ってきた場合、(資産計上されている保険料積立金がないので)いったん全額を雑収入として益金に計上する必要があります。
合同会社良いまち不動産 奥田良三
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